浮世絵は江戸時代に生まれ、庶民の間で爆発的な人気を博した木版画です。現代でこそ高級美術品として扱われる浮世絵ですが、当時は一枚が掛け蕎麦一杯分の値段で売られ、気軽に楽しむ大衆文化でした。浮世絵の魅力は、何よりも江戸の暮らしを生き生きと描き出している点にあります。
浮世絵のテーマは実に多彩です。美人画では喜多川歌麿が女性の表情や仕草を繊細に描き、役者絵では東洲斎写楽が歌舞伎役者の個性的な表情を大胆にデフォルメしました。風景画では葛飾北斎の「富嶽三十六景」と歌川広重の「東海道五十三次」が双璧で、特に北斎の「神奈川沖浪裏」は世界的に知られる日本の芸術作品です。この作品がゴッホやモネなど印象派の画家たちに大きな影響を与えたことは有名です。
現在、浮世絵は東京の太田記念美術館(原宿)や千葉市美術館で常設展示されています。また、大判の摺物(すりもの)は一枚数百万円で取引されることもあります。浅草や上野の美術館では定期的に浮世絵展が開催され、実際に摺り体験ができるワークショップも人気です。自分で版木を摺って浮世絵を制作する体験は、日本美術への理解をさらに深めてくれるでしょう。