葛飾北斎(1760〜1849)は、世界的に最も有名な日本の芸術家の一人です。90年の生涯で約3万点もの作品を残し、特に「富嶽三十六景」は浮世絵の金字塔として名高いシリーズです。
「富嶽三十六景」は、タイトルに「三十六」とありますが、実際には46枚の作品から構成されています。北斎が70歳を過ぎてから制作を開始し、富士山をさまざまな場所や天候、季節から描き出しました。最も有名な「神奈川沖浪裏」は、巨大な波と遠くの富士山をダイナミックに描き、世界中で最も複製された芸術作品の一つです。ゴッホはこの作品に触発されて「星月夜」を描いたと言われています。
このシリーズの魅力は、富士山の多様な表情にあります。「凱風快晴」では真っ赤に染まる朝焼けの富士、「山下白雨」では黒雲に覆われた夏の富士、「甲州三坂の水面」では湖面に映る逆さ富士など、同じ山でも全く異なる姿を見せます。
北斎作品は、東京のすみだ北斎美術館(両国)で鑑賞できます。ユニークな建築で知られるこの美術館は、北斎が生涯の大半を過ごした隅田川エリアに位置します。常設展では北斎の画業を紹介し、企画展で「北斎漫画」や「富嶽三十六景」の原本が展示されることもあります。